2026.1.7
経営者のためのSNS戦略(3) 90日で成果を出す「3つの指標」と最小運用チーム
第1回で設計思想を、第2回で実装ツールを解説してきました。これで準備は整いました。 しかし、ここからが本番です。どんなに優れたスプレッドシートやフロー図を作っても、実際に人が動かして結果が出なければ、ただの「画餅」です。
「最初は使われていたけど、だんだん入力されなくなった」 「ルールが形骸化して、結局口頭依頼に戻ってしまった」
こうした失敗を防ぎ、確実に成果を出し続けるためには、正しい「計測(KPI)」と、定着までの「ロードマップ」が必要です。最終回は、この運用の勘所をお伝えします。
あれもこれもと指標を追いかけると、現場は疲弊します。ミドル/バックオフィスのパフォーマンスを測る指標は、以下の3つだけで十分です。3つで足りないと感じても、増やす前にどれかを入れ替えるのが原則です。
「その仕事は、依頼者の役に立ったか?」を測ります。
「どれだけ滞留せずに流れたか?」を測ります。
「特定の個人に依存せず、組織として対応できたか?」を測ります。
これらの指標を、色分け(緑・黄・赤)で管理します。赤になったらアラートを出し、すぐに対応する。このサイクルを回します。
この仕組みを組織にインストールするための3ヶ月(13週間)の工程表です。
まずは小さく始めます。
実際に案件を流し始めます。
学びを貯めるフェーズです。
仕上げのフェーズです。
この手法を適用することで、どのような変化が起きるのか。2つのショートケースを紹介します。
【課題】
依頼内容に抜け漏れが多く、どの案件から手を付けるべきか優先順位もカオス状態。結果、完了まで平均72時間を要し、現場から「遅い」というクレームが絶えなかった。
【打ち手】
【結果】
平均完了時間が27%短縮。依頼の抜け漏れが減ったことで再依頼率も19%減少し、一次解決率が6ポイント向上した。
【課題】
チャット、メール、口頭でバラバラに依頼が来ており、窓口担当者が個別に返信していたため、進捗が見えず二重対応などが多発していた。
【打ち手】
【結果】
仕掛かり数が34%減少。期限内率が12ポイント向上し、無駄な確認作業が減った担当者の残業時間は18%削減された。
最後に、導入時につまずきがちなポイントと、その「特効薬」をお伝えします。
「急ぎだから」とチャットで直接依頼が来るのを許してしまうパターンです。
対処: 「申請はフォームだけ」というルールを鉄の掟にします。メールや口頭は一切受け付けない、返信しないことを事前に周知し、徹底します。
速さを追うあまり、雑な仕事が増えるパターンです。
対処: 「合格1行(完了条件)」の中に、「これだけは絶対にやってはいけない(ゼロ化したいミス)」を必ず明記します。
面倒な案件をすべて「赤(緊急)」にしてしまうパターンです。
対処: 赤の定義を極端に狭くします。その代わり、黄(注意)については「原則→基準→行動」のガイドラインを整備し、現場が自律的に処理できるようにします。
特定の詳しい人ばかりに仕事が集まるパターンです。
対処: 四半期ごとに担当をローテーションします。常に「代替要員(バックアップ)」を隣につける体制にします。
対処: 「3分ふりかえり」の実施率を監査します。振り返る時間を業務プロセスの中に強制的に組み込まないと、改善のサイクルは回りません。
本連載でお伝えしたかったのは、壮大なDXプロジェクトではありません。目の前の「詰まり」を解消し、チームを健やかにするための実務的な工夫です。 すべてを一度にやる必要はありません。明日からできる「小さな開始」は以下の通りです。
まずはスプレッドシートを1枚作り、そこを起点にチームの景色を変えてみてください。「決裁」というボトルネックから解放されたとき、あなたのチームは驚くほどのパワーを発揮し始めるはずです。