2026.1.7
経営者のためのSNS戦略(3) 90日で成果を出す「3つの指標」と最小運用チーム
前回は、組織の詰まりを解消するための5つの設計原則について解説しました。「入口をまとめる」「権限をスライダーにする」といった概念は理解できたかと思います。 しかし、どれほど素晴らしい原則も、現場で使える「道具」になっていなければ意味がありません。
「権限スライダーって具体的にどう設定するの?」 「仕事のカタログ化といっても、何から書き出せばいいの?」
今回は、概念を実務に落とし込むための「実装レバー(5つの道具)」について詳しく解説します。特別なシステム導入は不要です。まずはチームで共有されたスプレッドシートを1枚用意してください。それが、あなたの組織のコックピットになります。
最初のステップは、チームに舞い込む仕事を「商品」のように定義することです。これを「仕事のカタログ化」と呼びます。
業務があやふやなのは、名前がないからです。「あの件」「例の対応」「総務的な仕事」ではなく、代表的な品目に名前をつけます。
このように名前をつける(ラベリングする)ことで、初めて管理可能な「単位」になります。まずは主要な業務をリストアップしましょう。
原則2でお伝えした通り、入口はフォームに一本化します。ここでのポイントは、入力項目を欲張らないことです。必須なのは以下の3点だけです。
これに加えて、フォームには「出口の姿(合格基準)」を1行で明記します。 例えば、購買業務なら「単独決済可能・48時間以内完了・再交渉ゼロの状態」といった具合です。ゴールが示されていることで、依頼者は「どこまで情報を揃えればいいか」を自律的に判断できるようになります。 目指すユーザー体験は、「検索1回・申請3分」です。社内ポータルで検索すればすぐにフォームが出てきて、3分で入力が終わる状態を作ります。
仕事が溜まったとき、担当者の「勘」や「声の大きい人の依頼」を優先していませんか? これが混乱の元です。客観的なルールで順番を制御します。
前回の「信号機」のルールを適用します。
基本は「先に来た順」ですが、それだけではありません。「先に来た順+優先度」で並べ替えます。また、担当者の「得意分野」で自動的に振り分ける仕組みや、「時間が経つほど優先度が自動アップする」仕組みを入れることで、難しい案件がいつまでも放置されるのを防ぎます。
スプレッドシートやタスク管理ツールで、以下の数字を常時表示します。
特に「赤(緊急)」の案件については、解決していなくても、48時間以内に「次の一歩(Next Action)」を1行で登録することを義務付けます。解決には時間がかかっても、「次に何をすべきか」が決まっていれば、組織は安心できるからです。
「任せる」という行為を因数分解するツール、それが「権限スライダー」です。 マネージャーは案件ごとに、あるいは部下の熟練度ごとに、以下の3つのスライダーを調整します。
意思決定のプロセスをどこまで任せるかです。
その決定が及ぶ範囲です。
案件の難易度やリスクです。
例えば、「小額・低リスク・定型」の組み合わせなら、すべてのスライダーを「お任せ」側に振り、自動成立とします。 逆に、「高額・全社影響あり・難案件」であれば、部下の権限は「情報収集(高さレベル1)」までに限定し、そこから先はマネージャーが引き取る、といった使い分けをします。 「これ、任せたよ」と言う代わりに、「この案件は、高さレベル2、幅レベル1で頼む」と伝えることで、部下はどこまで自分でやっていいかを正確に理解でき、必要以上に上司の顔色を伺わなくて済みます。
業務の中で生まれた「気付き」を、個人の頭の中に留めず、組織に流通させます。 そのためのフォーマットが「ナレッジカード」です。
これらを1枚のカード(ドキュメント)に集約します。 重要なのは更新頻度です。「月1回」と決め、新しい項目を足すだけでなく、不要になった古いルールや冗長な要素を削るメンテナンスを必ず行います。
最後に、人間がやらなくていいことを手放します。
これらのレバーをどう組み合わせるかは、組織のタイプによって異なります。以下の3つの型から、自社に合うものを選んでください。
まずは自社のチームがどの型に近いかを考え、スライダーの設定やフォームの作り方を調整してみてください。 次回、最終回では、これらの仕組みを実際に組織に定着させるための「90日ロードマップ」と、成否を分ける「3つのKPI」について解説します。