&GROW LP

TOP &GROWアカデミー コラム なぜ「指示待ち」になるのか?部下の主体性を引き出すリーダーの「仕組み化」術

なぜ「指示待ち」になるのか?部下の主体性を引き出すリーダーの「仕組み化」術

2025.12.17

「何度言っても自分から動いてくれない」 「いちいち指示を出さないと業務が進まない」

現場を預かるリーダーやマネジャーの方々から、こうした悩みを聞かない日はありません。 特に、チームワークが生命線となる介護・福祉の現場や、業務が多岐にわたる組織において、「指示待ち」スタッフの増加は、リーダーの負担増だけでなく、現場全体の生産性と士気の低下に直結します。

実際、厚生労働省の「労使コミュニケーション調査(令和6年)」などのデータを見ても、職場でのコミュニケーションに課題を感じている事業所は多く、自分の意見や提案を積極的に言える環境が整っていないケースが散見されます。

なぜ、「自分から動ける人材」が育ちにくいのでしょうか? 本記事では、精神論ではなく、部下の「主体性」を自然と引き出すリーダーの新常識と、明日から現場で再現できる「仕組み化」のノウハウを徹底解説します。

指示待ち組織に共通する「5つの落とし穴」

スタッフにやる気がないわけではありません。主体性を阻む現場には、構造的な「落とし穴」が潜んでいます。まずは現状のチェックから始めましょう。

1. 目標や期待が「曖昧」である

「結局、何をゴールにすればいいの?」という状態では、スタッフは失敗を避けるために“言われたことだけやる”マインドに陥ります。

  • NG例: 目標が「とにかく頑張ろう」「利用者に寄り添おう」といった精神論だけで、具体的な行動基準がない。

2. 「失敗できない」空気が支配している

「ミスしたら責められる」「新しいことをして問題になるのが怖い」という現場では、自発的な提案は生まれません。減点主義は主体性の最大の敵です。

  • NG例: トラブルが起きた際、解決策よりも「誰がやったか(犯人探し)」が優先される。

3. フィードバックが機能していない

努力しても気づかれない、あるいはダメ出しばかりされる現場では、「余計なことはしない方が得」という学習性無力感が広がります。

  • NG例: 良い仕事をした時の「ありがとう」がなく、不備があった時だけ呼び出される。

4. 現場の意見が歓迎されていない

「現場の声が上に届かない」「どうせ言っても変わらない」と感じさせてしまうと、思考停止を招きます。

  • NG例: 若手や中途採用スタッフが改善案を出しても、「うちはこのやり方だから」と検討せずに却下する。

5. リーダーの「任せる力」不足

リーダー自身が「全部自分で把握しないと不安」と考えていると、権限委譲が進まず、スタッフの自律心が育ちません。

  • NG例: 細かい手順まで逐一指示を出し、スタッフが考える隙を与えていない。

なぜ今も「指示待ち」はなくならないのか?

近年、特にZ世代や若手スタッフの間では、「言われた通りに動く」ことよりも、「自分らしい働き方」や「仕事への納得感」を重視する傾向が強まっています。

しかし、多くの組織には依然として、日本型マネジメントの古い慣習が残っています。

  • 同調圧力の副作用: 「横並び」を重視し、意見を言わないことが「協調性」とされた時代の名残。
  • 正解主義の弊害: 「失敗しないこと」が最優先され、トライアンドエラーが許容されない風土。

これまでの管理手法のままでは、価値観が多様化する現代のスタッフとのギャップが広がるばかりです。リーダー自身の意識変革と、新しい仕組みづくりが不可欠になっています。

部下の主体性を引き出すリーダーの新・行動習慣

主体性を高めるキーワードは、「介入」から「支援」へのシフトです。 リーダーが意識すべき新しいアプローチを紹介します。

「任せる」と「見守る」のバランス

指示や管理は最低限にし、ゴール(目的)だけを共有して、具体的な手段はスタッフに委ねてみましょう。重要なのは「放置」ではなく、「困ったらいつでも相談に乗る」という安心感をセットで伝えることです。

  • ポイント: 業務の「Why(なぜやるのか)」を丁寧に伝える。

「聞く力」と「即時承認」

1on1やミーティングでは、リーダーが話す時間を減らし、「どう考えた?」「どこが難しかった?」とスタッフの思考を聞き出すことに徹します。また、小さな成果でもその場ですぐに認める「即時承認」が、次の行動への意欲を生みます。

「フィードフォワード」の活用

過去のミスを追及する「フィードバック」に加え、未来に目を向けた「フィードフォワード」を取り入れましょう。

  • 実践例: 「次はどうすればもっと良くなると思う?」と、未来の行動に対するアドバイスや問いかけを行う。

自身の「弱み」を自己開示する

リーダー自身が「完璧」である必要はありません。自分の失敗談や悩みをオープンに話すことで、スタッフは「完璧でなくていいんだ」「相談してもいいんだ」と感じ、心理的安全性が高まります。

現場で効く!自発行動を生む「仕組み化」ノウハウ

精神論だけでは組織は変わりません。誰でも実践できる「仕組み」を導入しましょう。

1. 目標の可視化と役割の明確化

チーム目標と個人目標をシートやクラウドツールで見える化し、全員が「今、何を優先すべきか」を常に把握できる状態にします。

【実践事例】

ある介護施設では、毎朝の朝礼で「今日のチーム目標」を1分で共有する習慣を導入。その結果、スタッフ自身が業務の優先順位を判断できるようになり、半年で改善提案数が2.5倍に増加しました。

2. 成果の“見える化”と称賛文化の醸成

「日報」や「チャットツール」を活用し、小さなファインプレーを共有して、チーム全員で称え合う文化をつくります。

【ツール活用例:目標管理クラウド「&GROW」】

目標管理システムなどを活用し、日々の行動記録や称賛コメントを可視化するのも有効です。

※現時点で「&GROW」導入による公開可能な定量データ(スタッフ満足度等)はありませんが、導入施設からは「お互いの良いところを見る習慣がついた」との定性的な声が寄せられています。

3. 「内省」を促す1on1ミーティング

週1回や月1回の面談を、「業務報告」の場ではなく、「振り返り(内省)」の場に変えます。

【実践事例】

あるデイサービスでは、月2回の1on1で必ず「最近、自分で考えて工夫したこと」を質問するようにしました。結果、スタッフの離職率が1年で17%から9%に低下し、主体的な情報共有が活発化しました。

4. 心理的安全性を高める「失敗共有」

Googleの研究でも有名な「心理的安全性」。これを高めるには、リーダーから失敗を語ることが近道です。

【実践事例】

リーダーが毎月「私の今月の失敗談」を明るく共有する時間を設けたチームでは、若手スタッフからの「相談」や「提案」の数が約3倍に増加。ミスを隠さず報告し、次に活かす風土が醸成されました。

明日からできる実践アクションリスト

まずは一つからで構いません。明日からの行動を変えてみましょう。

【Level 1:即実践(忙しい現場向け)】

  • 次のミーティングで、スタッフ全員に「最近、自分で判断して行動したこと」を一言ずつ話してもらう。
  • 1on1で「今後やってみたいこと」「今、困っていること」を必ず聞く。
  • チームと個人の目標を、ホワイトボードやツールで常に“見える化”する。

【Level 2:応用(習慣化へ)】

  • 失敗経験をチームでシェアし、「ナイスチャレンジ!」と称え合う時間を設ける。
  • 一部の業務について、「やり方は任せる」と権限を委譲してみる。

定期的にエンゲージメント(働きがい)を確認するアンケートやサーベイを実施する。

リーダーが変われば、チームは変わる

「指示待ち」のスタッフを嘆くのではなく、彼らが動き出したくなる「舞台(仕組み)」を整えることが、これからのリーダーの役割です。

指示命令型のマネジメントから、「対話」と「承認」による支援型のマネジメントへ。 まずは小さな「仕組み」を一つ取り入れ、主体性を引き出す組織への第一歩を踏み出してみませんか。

  • この記事をシェアする
  • facebook
  • twitter