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TOP &GROWアカデミー コラム 74%の社員が「伝わらない」。経営と現場の断絶を解消する「戦略的対話」5つのステップ

74%の社員が「伝わらない」。経営と現場の断絶を解消する「戦略的対話」5つのステップ

2025.12.10

あなたは、現場に「伝えたつもり」になっていませんか?

あなたの組織は、経営層が発したトップメッセージや戦略が、現場の最前線で「具体的な行動」として再現されていると自信を持って言えるでしょうか。

この記事では、多くの経営者が陥る「わかっているはず」という慢心の危険性を指摘し、組織の共感と実行力を劇的に高めるために必要な「戦略的対話」の設計法を、データと具体的な事例に基づいて解説します。現場の力を最大化する、経営層の5つの習慣を今日から始めて、組織を動かす一歩を踏み出しましょう。

「伝えたつもり」が組織を崩す──経営と現場のすれ違いが生む問題

「自分の考えは十分に伝わっているはずだ」「指示通りに動かないのは現場の問題だ」──これは多くの経営者が抱きがちな危険な錯覚です。しかし実際には、経営者が語った言葉が現場で正しく解釈され、具体的な行動として再現されているケースは極めて稀です

たとえば、2023年に行われた米ContactMonkey社の調査によると、従業員の74%が「社内コミュニケーションが十分ではない」と回答しています。また、Gallup社のレポートでも「上司の指示の意図が不明確だと、従業員のエンゲージメントは大幅に低下する」と報告されています。

つまり、“伝えたつもり”では組織は動かず、誤解や無関心を生むだけです。これは経営戦略がどれだけ優れていても、それが現場で実行されなければ何の意味も持たないことを意味します。

この構造的なギャップこそ、経営と現場の断絶を生む根本原因です。

 「伝わらない」の本質──構造的な4つのズレ

1. 「発信≠到達」トップダウンの情報はなぜ必ず歪むのか

経営層が朝礼や社内報、動画メッセージなどでいくら理念や戦略を語っても、それが現場の行動に結びつくとは限りません。特に現場が多層構造になっている組織では、途中でメッセージが歪められたり、そもそも伝達されなかったりすることが頻発します。

Sociabble社の調査によれば、情報の伝達が不十分な企業では、従業員の離職率が最大で50%増加する傾向があることが示されています。

2. 「目的」なきメッセージは響かない

経営の指示が「売上目標を達成せよ」「残業を減らせ」といった“WHAT”だけで構成されている場合、現場は「なぜその行動が必要なのか」という“WHY”を理解できません。MIT Sloanの研究では、「WHY」が明確に示されたプロジェクトは、チームの納得度が平均29%高くなるとされています。

3. 意図と受け取りのズレ──「同じ言葉」が「違う意味」に

経営層が「スピード感をもって対応を」と言った時、マネジャーは「その日のうちに」と解釈し、現場スタッフは「1週間以内でいい」と受け取る──こうしたズレは珍しくありません。経営と現場では立場や視野が異なるため、抽象的な言葉ほど誤解されやすくなるのです。

4. 習慣化されていない「双方向性」

多くの組織では、トップからの発信ばかりが強調され、現場からのフィードバックを受け止める仕組みが存在しません。しかし、現場の声を拾わなければ、本質的な改善も信頼の醸成も生まれないのです。

McKinseyの調査では、「双方向のコミュニケーション文化がある企業」は、従業員満足度が平均2倍になると報告されています。

組織の実行力が2倍に!「伝える」を「つながる」に変える経営層の5大習慣

習慣1:現場で「経営」を語る場をつくる

経営者や役員が自ら現場に足を運び、日々の業務の中でトップメッセージを語ることが、信頼と納得感を生みます。経営は遠い存在ではなく、「一緒に未来をつくるパートナー」として認識されることが重要です。

✅ 製造業の事例:ある中堅製造業では、月1回の現場朝礼で社長自ら経営の進捗や市場動向を共有。現場の改善提案が前年比150%に増加した。

習慣2:ミドルを「語れる存在」に育てる

ミドルマネジメントは経営と現場をつなぐキーパーソンです。方針の背景や目的を理解し、自分の言葉で部下に伝えられる“翻訳者”を育てることが、全社の納得感を高めます。

✅ Gallupの調査では、マネジャーの説明力が高いチームほど、エンゲージメントスコアが35%高いという結果が出ています。

習慣3:定期的な1on1・対話の場を制度化する

「年に1回の面談」ではなく、「週1回の短時間1on1」など、こまめな対話の習慣が重要です。質問は「どうしてできていない?」ではなく、「何に困っている?」というスタンスで行うことで、本音を引き出すことができます。

✅ Googleのプロジェクト・オキシジェンでも、「頻繁な1on1を行う上司」はチームの生産性・信頼性が最も高いことが示されています。

習慣4:数字よりも「意味」と「ストーリー」を語る

目標達成率だけでなく、「その数字にどんな意味があるのか」「この挑戦にどんな背景があるのか」を語ることで、共感が生まれます。ストーリーには、人を動かす力があります。

✅ HBRの研究では、ストーリーで方針を語った場合、従業員の記憶定着率は数値中心の説明の約2倍になると報告されています。

習慣5:発信とフィードバックの「両輪」を回す

一方的な通達ではなく、メッセージに対するフィードバックを受け取る仕組みを持ちましょう。たとえば、Slackでの経営メッセージ投稿に対してリアクションやコメントを募る、全社アンケートで意見を可視化するなどが有効です。

✅ あるIT企業では、社長メッセージに対する“リアクション率”をKPIに設定し、内容の改善につなげた結果、社員満足度が前年比20%向上。

「伝える」から「つながる」へ──組織を動かす経営者の習慣

経営者の言葉が現場で実行されるかどうか。それは、組織のパフォーマンスに直結する問題です。単に“伝える”だけでなく、メッセージが“理解され”、“共感され”、“行動につながる”ための仕組みと習慣を持っているかが問われます。

紹介した5つの習慣──現場で語る、ミドルを育てる、対話を制度化する、意味を語る、フィードバックを受ける──は、どれも今日から始められる実践です。

“わかっているはず”をやめて、“伝わっているか確認する”を習慣にしましょう。経営者の一言が、組織を変えるきっかけになります。

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