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TOP &GROWアカデミー コラム “辞めたくない職場”をつくる上司の条件とは?エンゲージメントを高める5つの極意

“辞めたくない職場”をつくる上司の条件とは?エンゲージメントを高める5つの極意

2025.11.27

「また1人辞めた」──この言葉が、もはや驚かれなくなった職場も多いのではないでしょうか。介護業界に限らず、あらゆる業界で「人が辞めてしまう」ことが深刻な経営課題となっています。

離職率の改善といえば、給与や福利厚生、労働時間などの「待遇改善」が真っ先に検討されます。実際、厚生労働省の調査(令和4年雇用動向調査)によれば、介護・福祉業界の離職理由の上位に「労働条件」が挙げられています。もちろんそれも重要ですが、それだけでは根本的な解決にはなりません。スタッフが「ここで働き続けたい」と思えるかどうか──その鍵を握るのが「エンゲージメント」です。

本記事では、単なる満足度とは異なる“本質的なエンゲージメント”の意味と、それを高めるための具体的な5つの極意を、あらゆる業界の管理職・リーダー向けに解説します。

なぜ今、エンゲージメントが「最高の経営戦略」なのか?

「エンゲージメント=満足度や忠誠心」と思われがちですが、実際にはそれよりも深く、“心理的なつながり”を指します。Gallup社の定義では、エンゲージメントとは「社員が自分の仕事や組織に対して情熱を持ち、自発的に貢献しようとする意欲の度合い」とされています。

この概念が注目される背景には、ただ“辞めない”だけではなく、“自ら貢献し、組織の成果にコミットする人材”を育てる必要があるからです。

実際、エンゲージメントが高い職場では以下のような成果が出ています。

  • 離職率が最大43%減少
  • 生産性が17%向上
  • 顧客満足度が10%以上向上

(出典:Gallup

つまり、エンゲージメントは離職防止策であると同時に、「組織のパフォーマンスを最大化する経営戦略」でもあるのです。

「頑張っても報われない」〜エンゲージメント格差を生む組織の特徴

では、なぜエンゲージメントが高い組織と低い組織で、ここまで差が出てしまうのでしょうか?

原因の多くは「日々のコミュニケーション」と「役割認識」にあります。

例えば、ある中堅社員は 「頑張っても評価されない。上司と話すのは注意されるときばかり。何のために働いているのか分からなくなる」と語りました。

このように、上司との関係性が悪化すると、スタッフは「心理的に距離を置く」ようになり、エンゲージメントは急激に低下します。

さらに、目標が曖昧で、自分の役割が組織の中でどう貢献しているかが見えない職場では、「自分の仕事が無意味だ」と感じてしまうことも。

こうした“見えない不満”が蓄積し、気づいたときには退職届が出されている──これがエンゲージメントを軽視した組織の末路です。たとえば「上司が自分の名前すら覚えていない」「朝の挨拶が返ってこない」などの小さな出来事が、心の距離を広げていきます。

明日から実践!“辞めたくない職場”に変えるエンゲージメント5つの極意

ここからは、貴方が管理職・リーダーとして今日から実践できる、エンゲージメントを高めるための5つの極意をご紹介します。

1. 期待値の明確化:目標の「見える化」で迷わない仕事を

スタッフが迷子になる原因は、「何を求められているのか」が分からないこと。

「あなたにはこれを期待している」「今期はこの目標に一緒に挑戦しよう」と、役割と成果基準を明確に言語化することで、スタッフは安心して自律的に行動できます。

たとえば、目標管理ツールを活用して、3ヶ月〜半年単位で「なりたい自分」と「具体的アクション」を共有する設計が有効です。具体的には、介護・福祉業界向けの「&GROW(アンドグロー)」のようなクラウド型目標管理システムを活用すれば、スタッフの成長と目標達成を日常的に“見える化”できます。

2. 承認とフィードバック:努力を言語化し、モチベーションを継続

「頑張っているのに、誰にも見られていない」──これほどエンゲージメントを下げる要因はありません。

スタッフの小さな行動にも「○○してくれて助かったよ」「昨日の対応、すごくよかったね」と即時に承認することで、自信とやる気が育まれます。

また、フィードバックは事実ベースで。「昨日の○○対応、スピーディーで助かった」と具体性を持たせるのがポイントです。

3. 成長機会の提供:「やってみたい」を叶える設計

人は「成長実感」があるとき、自分の存在価値を強く感じます。

「いつも同じ仕事で退屈」と感じさせないためにも、新しい役割やスキル獲得のチャンスを計画的に提供しましょう。

例えば、興味がある資格取得への支援や、プロジェクトリーダーへの任命など、日常の延長線で挑戦できる仕組みが鍵です。

4. 対話の文化づくり:上司の“聞く力”が信頼を生む

エンゲージメントは、上司と部下の“対話の質”で決まります。

定期的な1on1ミーティングを通じて、「最近どう?」から始まる雑談と、本音を引き出す問いかけをセットで行うことが重要です。

例えば、「最近、仕事で楽しかったことある?」「困っていることってある?」「最近、誰かに感謝されたことあった?」「今、仕事以外で気になっていることってある?」など、感情に寄り添う言葉が信頼を築きます。

5. チームでの成功体験:連帯感が生む“ここで働きたい”という実感

最後に、個人の頑張りだけでなく「チームで何かをやり遂げた」経験が、エンゲージメントを大きく高めます。

小さな成功でも「○○をみんなで達成できたね」と共有することで、職場に一体感が生まれます。

成果共有ミーティングや、プロジェクト振り返り会などを通じて、「成功体験の可視化」がカギとなります。

“仕組み”で支えるエンゲージメントの継続

行動や対話は「継続」があってこそ、エンゲージメント向上につながります。

ここで役立つのが、行動記録や目標管理をサポートするクラウドツールの活用です。

たとえば、&GROW(アンドグロー)の「毎日コツコツシート」では、日々の行動やモチベーションを1分で記録でき、上司と共有することで対話のきっかけが生まれます。

また「目標管理シート」では、1年後の“なりたい自分”に向けたアクション設計ができ、成長実感を可視化。

このように、エンゲージメントは“仕組み”と“関係性”の両輪で支えることが重要です。

明日から始めるエンゲージメント強化の第一歩

何か大きな改革をしなくても、エンゲージメントは変えられます。

明日からできることは、例えば次の3つです。

  • 「ありがとう」を1日3回、スタッフに言ってみる
  • 1on1の時間を確保し、話すより“聴く”に徹してみる
  • チームで「誰の元気がないか?」を話し合う場を月1回設ける

これらは小さな行動ですが、積み重ねが職場の空気を確実に変えます。

エンゲージメントは「待遇」ではなく「上司との関係性」から始まる」

エンゲージメントは、「辞めたくない職場」をつくるための最重要要素です。

それは待遇でも仕組みでもなく、“上司との関係性”から始まります。

まずは、スタッフ一人ひとりの“働く意味”に寄り添い、小さな対話から信頼を育むこと。

その積み重ねが、「また明日もここで頑張ろう」と思える職場をつくっていくのです。

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