&GROW LP

TOP &GROWアカデミー コラム 失敗しないOJT──理念を行動に写し、3分フィードバックで磨き、期限つきゴールで締める

失敗しないOJT──理念を行動に写し、3分フィードバックで磨き、期限つきゴールで締める

2025.10.16

0|結論

  • 理念は“名詞→動詞→指標”へ翻訳して掲示(認知→行動を直結)。

  • フィードバックは“3分・1テーマ・その場実施”で高頻度に(会議化しない)。

  • OJTゴールは“合格1行+期限+再現3回”で曖昧さを断つ


1|理念・行動指針を“測れる行動”に落とす

抽象語は現場で消えます。最初に行動の翻訳を済ませ、以後はそれを教えるだけにします。

翻訳のルール(3ステップ)

  1. 名詞(価値):例「顧客中心」「安全第一」「コンプライアンス」

  2. 動詞(ふるまい):価値が現れる行動を1〜2個だけ定義

  3. 指標(観察可能):回数・順序・時間など数えられる基準にする

提示の原則

  • 各業務につき1〜2行で掲示(長文禁止)。

  • 月1で実績とズレた項目は削る/置き換える(足さない)。

例(1行だけ):一次対応=「3分以内/選択肢2提示」。
 ポイント:短い・数えられる・掲示できる


2|高頻度フィードバックは“3分一本勝負”

目的は次の一歩の再現です。合図は 「30→60→60→30→30」

  • 0:00–0:30|事実(Fact)
     見聞きした事実のみ。長所→課題の順で短く。

  • 0:30–1:30|影響(Impact)
     なぜ良/課題かを会社の基準に結び付けて一言(安全/法令・規程/顧客・事業価値のいずれか)。

  • 1:30–2:30|次の一歩(Next)
     行動を1つに限定し、必要なら型・順序・所要を添える。

  • 2:30–3:00|リハーサル(Rehearsal)
     相手の口で10〜15秒の口頭再現(ミニロープレ)→OKで終了。

運用ルール

  • テーマは1つだけ。 足したくなっても追加しない。

  • 現場で即時実施。 ミーティングに回さない。

  • 記録は3行(事実/次の一歩/次の実施場面)。

  • 翌業務の冒頭で「今日は○○をやる」と想起宣言


3|OJTのゴール設定:合格1行+期限+再現3回

“そのうち”は来ません。最初に合格像を言語化し、期限を切り再現性で判定します。

合格1行(型)

「業務名:レベル(観察/同伴/単独/例外)・時間(所要)・価値行動(1〜2点)・再現(条件変更で3回)」

期限の目安(30-60-90日)

  • Day30:同伴で連続3回達成/価値行動70%

  • Day60:単独で条件変更3回達成/価値行動90%

  • Day90:非定型(黄)を基準に沿って説明・処理可能

例外語彙(全社共通)

  • 赤=重大リスク:即エスカレーション

  • 黄=非定型原則→基準→行動の順で決定

  • 緑=通常:手順に忠実
     判断基準は3つに固定:①安全・法令 ②顧客価値 ③事業生産性(増やさない)


4|“三本柱”を日常に埋め込む最小オペレーション

余力では続きません。小さな儀式を固定します。

  • 朝1分:各自が今日の価値行動を一言宣言

  • 業務中:対象場面が出たら即3分FB(30→60→60→30→30)

  • 夕3行:F/N/次の実施場面のみを書く(長文禁止)

  • 週5分:成功パターンを1つだけ共有

  • 月15分:「合格会議」—OJTリーダー+上長で合格1行に照らし判定・更新


5|測る数は“プロセス1〜2・結果1”だけ

指標過多は現場を鈍らせます。最大3つに絞って運用。

  • プロセスKPI

    • 3分FB実施率(本数/機会)

    • 価値行動達成率(翻訳した指標の達成%)

  • 結果KPI

    • 任せられる業務数(L3/L4)またはリードタイム短縮

迷ったら、価値行動達成率再現成功率(条件変更下で3回)を採用。


6|つまずきやすい点と打ち手(要点のみ)

  • 理念が長い → 各業務の価値行動を1〜2行で掲示(数えられる形)。

  • FBが広がる → 合言葉「ひとつだけ」。3分内で締める。

  • 期限が曖昧 → 30-60-90を先に公告し、変更は月次のみ。

  • 例外で迷う赤/黄/緑+3基準に立ち戻る。


7|今日からの実装チェック(30分で着手)

  • 10分:主要3業務の合格1行を作成。

  • 10分:価値行動の**掲示文(各1〜2行)**を決定。

  • 10分:3分FBの運用合図「30→60→60→30→30」をチームで宣言。


まとめ

OJTの要は、理念を“測れる行動”に翻訳し、3分の高頻度フィードバックで微修正を積み重ね、期限つきの合格1行で締め切ること。三本柱が噛み合えば、属人的な指導から脱し、誰が教えても同じ成果が出る“再現性のある育成”に変わります。

  • この記事をシェアする
  • facebook
  • twitter